Written in Japanese(UTF-8)
2016. 4. 6
INASOFT
/トップ/目次/管理人のひとこと(ブログ)/いじくるつくーるの開発を休止することになりました
3211619 (+0244)[+0243]
管理人のふたこと
いじくるつくーるの開発を休止することになりました
公開日:2016/04/06
16年以上前から開発をしている「いじくるつくーる」のシリーズ「Rnsf」ですが、この度、開発を休止することにしました。
「いじくるつくーる」は、半年以上前から、Windows 10への対応に向けて、β版の開発を進めています。しかし、作者自身、開発に費やせる時間が以前と比較して大きく減ってしまい、対応作業の進捗が芳しくないことに加え、Windows 10のInsider Buildが次々と発表され、どう考えても最新環境に対する動作検証が追いつかなくなってきてしまいました。
レジストリのカスタマイズツールの最新環境に対する動作検証が、一般のソフトのそれよりも重要になる理由として、一般のソフトと異なり、レジストリのカスタマイズツールは、設定に対する動作の本体をツール自身が保持しないという特殊性があります。
例えば、現在開発中の「改行コード変換Lite」の場合ですと、改行コードを挿入する機能自身は、「改行コード変換Lite」の中に内包しています。
しかし、カスタマイズツールでは違います。例えば、スタートメニューの動きを変える機能があるとして、カスタマイズツールはレジストリを編集することしかしません。その機能をどう実現するか、あるいは無視するかは、Windowsが決めます。
極端な話、Windows 8ではスタートメニューがありませんから、スタートメニューに関する機能は無視されます。いじくるつくーるはそれを考慮して、機能の表現を変えなければなりません。
このように、他のソフトと比較して、OSの変化に対してより機敏に対応していく必要があるというわけです。
Windows 10は非常に高頻度で進化し続けるOSですから、その進化の速度に、検証速度が追いつかなくなりました。
借金が減るよりも、増えていくペースの方が大きくなっていくような感覚でしょうか。
特にいじくるつくーるには、全部で1400を超える機能が存在しており、それら全てに対して動作検証をしなければなりません。
実は、Windows 8以降、まともに動作検証できていない項目が結構あるので、過去に遡って検証しないといけない項目もあったりします。もはや、手が回らなくなりました。
加えて、カスタマイズツールを取り巻く現状も影響しています。
カスタマイズツールの需要は、次の2つの観点から、減少していると考えられます。
1つ目は、PC利用者数の減少。
スマートフォンやタブレットPCの台頭により、PCを私的に持つ人が減少してきています。
これは、カスタマイズツールの利用者数の低下に直接、繋がっています。
2つ目は、カスタマイズ必要性の低下。
Windowsをカスタマイズする理由の1つに、動作速度を向上させたいという需要がありました。直接的に動作速度が向上しなくても、結果的にやりたいことに早く到達できれば良いという発想です。そのために、昔はWindowsのあちこちをカスタマイズしていました。
昔のPCはスペックが低く、Windowsのあちこちをカスタマイズしないことには快適に使えないことが多かったのですが、最近のPCはスペックが高く、そもそもカスタマイズせずとも快適に動作することが多いです。
ただ、これだけであれば、わざわざ「休止宣言」を出さずとも、勝手に休止していれば済む話ではあります。
実際、INASOFTでは、いじくるつくーるよりももっと長い期間、開発を「休止」しているソフトはあります。
休止宣言を出すことを決めた直接的な原因は、ユーザーサポートにあります。
先日、熱心なユーザーの方から、様々な改善要望をいただきました。大変ありがたい話ではあるのですが、現在の作者では、それらの実現は非常に困難なことになってしまいました。
ここでその詳細を1つ1つご紹介することは割愛しますが、1400の機能1つ1つを見直さなければならなかったり、いじくるつくーるのベースとなっている本体機能そのものにも手を加えねばならなかったりします。
4年前くらいであれば、それらを喜んで受け入れ、いくつかは実現できていたかもしれませんが、今では1つも実現することができなくなってしまいました。
大変申し訳ないことに、全ての受け入れを拒まなければなりません。
このように、ユーザーから期待を受けているにもかかわらず、いい加減な開発状態で放置しておくことは、良いことではありません。
せっかくユーザーが長文要望を書いてくれたにもかかわらず、全て破棄せねばならないようなことが今後、起きてしまうことは望ましくありません。
このことから、他の休止状態のソフトと違い、きちんと休止宣言を出しておいた方が良いと考えたのは、そのためです。
いじくるつくーるは、Rnsfシリーズの7作目として、2003年に登場しました。
私の大学4年の卒業研究の一環で、「社会人になって多忙になっても開発を続けられるよう、独自の、Windowsカスタマイズに特化したスクリプト言語で開発をする」という目的で、ゼロベースで開発しました。
それから13年にわたり、どんどんを機能を増やしていくことができたのは、このときの研究の成果があると思います。また、ユーザーの皆様からの機能追加要望や、応援のおかげもあると思います。
ここで、一定の成果が上げられたということが確認できたということで、いじくるつくーるの開発は、休止としたいと考えています。
ちょっと残念なのが、「いじくるつくーる」(ver.7)を、旧バージョン(ver.6)の副題である「いじくるツール」と呼んでしまう人が、今でも後を絶たないことですね。
「いじくるツール」だったのは、13年以上前に1年10ヶ月ほどの期間しかなかったのに対して、「いじくるつくーる」になってからの期間は13年ありましたので、「いじくるつくーる」の期間の方がずっと長いはずなのですが……、ユーザーに強烈な印象をもたらし、Windows界隈で名を上げられたのは1年10ヶ月の方の期間だったようですね。その頃はPCも活発に使われていました。そういう意味では、もう薄っぺらくなってしまった、最後の13年間だった…ってことなのかもしれません。
ちなみに、2012年の誤検知騒動で、開発のモチベーションが激減し、開発時間も激減し、作者のライフスタイルが変化して、開発に掛けられる時間が減ったというのも、要因の一つとも言えるかもしれません。ですが、それだけではない、ということは、いちおう書いておきたいと思います。
作者のライフスタイルの変化は、この騒動だけが原因と限ったことではなく、36歳の社会人としての在り方の変化そのものによることも大きいです。
たぶん、あの騒動がなくても、いずれは社会人としての在り方の変化は起きていたでしょう。結局は、時間の問題だったと言えます。
長い開発期間の中で最もうれしかったのは、「DOS/V POWER REPORT」で定番ソフトとして取り上げてもらい、付属メディアに継続的に収録してもらえるようになったことだったかな、と思います。
私がフリーソフトを公開している理由の一つに、大昔に見かけた「I/Oという雑誌の付属フロッピーに収録されたい」というものがありましたから、それが叶ったようでうれしかったです。
(定番ソフトになった後すぐに、「DOS/V POWER REPORT」のメディアの付属そのものが終了してしまったため、定番収録期間はすぐに終わってしまったわけですが、そのステータスに居られたということそのものが、うれしいことでした)
とても感慨深いものがありました。雑誌の発行数だけ複製され、多くの人の手に渡り、愛用してもらっていることを実感できました。
それが今では、「レジストリのカスタマイズをするなんて、ウイルスとして扱われた当たり前」なんて言う人まで出てきてしまう時代になってしまいましたからね。時代の変化とは、切ないものです…。
今後は、以前から宣言しているとおり、作者自身の需要に沿った、もっと小回りの効くソフトの開発に注力していきたいと考えています。
「コピペテキスト修飾除去」だったり、「改行コード変換Lite」だったり、「CaptureSaveAs」だったり。
作者の需要を直接的に反映したソフトを、マイペースで開発・更新していきます。
今後ともよろしくお願いします。
現在、β版で止まっている「いじくるつくーる」ですが、現在の状態で、ひとまず、正式版に格上げさせます。
ただし、Windows 8.1/10対応作業は止まってしまったので、Windows 8.1/10対応の表記は削除します。起動時に、バージョンが高すぎる旨の警告ダイアログは出しませんが、対応は中途半端な状態となっておりますので、利用される場合は、ご注意いただければと思います。
※このページは、いじくるつくーるのヘルプの「あとがき6」として、再収録される予定です。
本ページへは、自己責任の範囲内であれば自由にリンクしていただいて構いません。
本ページに掲載されている内容は、自由にお使いいただいて構いませんが、必ずしも筆者が内容を保証するものではありませんので、ご利用に際しては自己の責任においてお使いいただきますよう、お願いいたします。
このページのURLやアンカーは、サーバ運営・サイト運営・ページ運営・その他の都合により無告知で一時的あるいは永遠に消滅したり、変更したりする可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。
本ページは、公開から1年半経過後の任意のタイミングで削除される予定です。本ページの内容は複製・公開していただいて構いません。
/トップ/目次/管理人のひとこと(ブログ)/いじくるつくーるの開発を休止することになりました